【連載】”作るだけでは儲からない時代”、製造業はどう戦うか?
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目次
日本の製造業は、いま岐路に立っている。
懸命に努力しているのに、手応えが薄い。
その違和感は、何を意味するのか。
Podcast『製造業進化論-技術とデジタルと経営と-』
オーツー・パートナーズ制作Podcast番組『製造業進化論-技術とデジタルと経営と-』にて、本コラムを執筆した伊藤尚志が『“作るだけでは儲からない時代”、製造業はどう戦うか?』をテーマにトーク。MCは当社取締役の勝見靖英が務めます。
序章 問題意識と連載の見取り図
「なぜ儲からないのか。いろいろ手を打っているが、本当にこれでよいのだろうか。」
最近、製造業の経営者や現場責任者との対話で、そんな問いに出会うことが増えた。
QCD改善を続けている。
DXにも取り組んでいる。
新規事業の検討も進めている。
それでも、どこか手応えが薄い。 頑張っているのに、以前ほど報われている実感が持てない。そんな問いが、製造業の現場に広がっている。
もちろん、製造業とひと口に言っても、その姿はさまざまだ。
市場環境、製品構成、顧客ポートフォリオ、収益構造——置かれた状況は企業によって大きく異なる。
一方で、そうした違いを超えて、共通する構造変化が起きているのではないか。
そう考えるようになったのが、本連載のきっかけである。
「製造業はどう戦うか?」
この連載では、その問いを真正面から考えたい。
その前に、すぐに戦い方の話に入る前に、まず整理しておきたいことがある。
いま起きている変化は、個別企業の努力で乗り越えられる範囲の話なのか。
それとも、競争の前提そのものが変わっているのか。
もし後者だとすれば、必要なのは努力の量を増やすことではなく、前提を見直すことかもしれない。

本連載では、この変化を順番に見ていく。
第1回では、なぜ頑張っているのに儲かりにくいのかという違和感から出発する。
第2回、第3回では、中国という巨大な供給システムが、製造業の競争環境をどう変えているのか、そして技術進化がその変化をどう加速させるのかを見ていく。
第4回から第7回では、なぜ「作るだけでは儲からない」のか、その構造を掘り下げる。
過剰供給はなぜ起きるのか。
なぜ差別化が難しくなるのか。
これまで製造業で正しいとされてきた経営の前提は、いまも有効なのか。
そうした問いを通じて、問題の本質を考えたい。
第8回から第10回では、日本の製造業にどんな戦い方があり得るのかを考えたい。
どこに新しい競争力の源泉を見出せるのか。
製造業の役割そのものを、どう捉え直すべきなのか。
これは悲観論ではない。
しかし、安易な楽観論でもない。
日本の製造業に勝ち筋があるのか。
あるとすれば、それはどこにあるのか。
その答えを、従来の成功体験の延長だけに求めるのは難しいようにも思える。
もっとも、製造業は非常に裾野の広い産業である。
業界が違えば競争環境も異なるし、個別企業によって置かれた状況も大きく異なる。
さらに、いま起きている変化そのものも、なお動き続けている。
だからこそ、まず何が変わったのか、どういう変化が今後起こりそうかを捉えることからはじめ、その上で、製造業はどう戦うべきかを、読者の皆さんと一緒に考えていきたい。
