【第1回後編】きづきアーキテクト代表・長島聡

2023.10.24
  • 対談連載『リーダーのアタマのナカ』

AI時代を生きるコンサルタントが「やるべきこと」と「やめるべきこと」

オーツー・パートナーズの代表取締役社長 松本晋一が日本の製造業を元気にしたいという志を持つ各界のキーマンにインタビューする対談連載『リーダーのアタマのナカ』。今回ご紹介するのは、きづきアーキテクト代表の長島聡氏。2022年よりオーツー・パートナーズの社外取締役として参画しています。今回は、長島氏が考える、これからの時代のコンサルタントや日本の産業界の未来についてお話を伺いました。

プロフィール 長島 聡 きづきアーキテクト株式会社/代表取締役、株式会社オーツー・パートナーズ/社外取締役
早稲田大学理工学研究科博士課程終了後、同理工学部助手を務め、1996年株式会社ローランド・ベルガーに参画。同社では日本法人代表取締役社長を経て、2020年3月までグローバル共同代表を務める。2020年7月にきづきアーキテクトを創業、代表取締役に就任。IoT/DX、モビリティ、中小ものづくり企業等をテーマとした講演・寄稿多数。2022年4月より、株式会社オーツー・パートナーズ社外取締役に就任。

一人でなんでもできると思わないこと

松本:長島さんは、さまざまなリソースを組み合わせるオープンイノベーションをされていますが、成功させるコツはなんでしょうか?

長島:1つは、一人でなんでもできると思わないこともう1つは、自分がやっていることをほかの分野の人が見たらどう映るかを想像してみることですね。たとえば、私たちがやるような経営分析や合理的な経営計画は、アーティストや作家のような、必ずしも合理的なことが正しいとは思わない人たちからどう見えるか?ということを、好奇心を持って観察してみることが重要だと思います。

松本:そうですね。自分のことを語る前に、まずは相手を理解することから、というのは私たちも重要視しているところです。そういえば、長島さんはすごく人の話を聞きますよね。

長島:相手の話を聞きながら、「この人の思考パターンはどんなものだろう?」とか「結論を出すまでに使っているファクトはなんだろう?」と妄想しているときはあります。人が出す結論は、そこにたどり着くまでに使ったファクトの種類と数によって変わりますから。

お互いの使ったファクトがまったく違うから結論が合わない、ということも珍しくないので、まずは相手のファクトを見極めること。それが、オープンイノベーションへの第一歩だと思います。みんなが集めた全てのファクトに基づいて結果を出せば、他者と合理的に擦り合わせることになるのです。それでも、問題意識がなかなか擦り合わない場合には、一歩抽象度を上げて話してみる。こうすると合意しやすくなります。

松本:そうなると、これからのコンサルタントは、今まで求められてきたようなロジカルシンキングだけではなく、人の感情や行動原理まできちんと見据えたプランがつくれないと成果を出せないという気がしますね。今、ChatGPTが出てきて、今後3年間で3億人のナレッジワーカーが失業するといわれています。私はその中にコンサルタントも入っているのではないか、という危機感を感じていて。どうしていくべきかを考え続けていたのですが、長島さんのようなことができる人材が、コンサルタントに限らず、多くの企業で求められていくのかもしれませんね。

シェア争いからの脱却

長島:私、シェアという言葉が好きじゃないんです。シェア争いをしていると「ライバルより上に行くためにはどうするか」っていう考え方になっていく。そしてアイデアがなくなると、低価格路線に向かいます。そうなれば、勝ち残った会社は大きくなるかもしれないけれど、市場は縮みます。「それで何がしたいの?」と思いますよ。

松本:でも、今の社会はその繰り返しですよね。奪い合いというか。

長島:それが、社会全体の生産量を減らしているのだと思います。シェアで争っていると、お客様に価値を届けることより、相手をどう追い落とすかということが目的になりがちです。「新しい市場をつくりたい」とか「自分たちだけの価値を届けたい」と考えている企業なら、シェアの議論にはなりませんよ。

松本:確かに、人の暮らしが豊かになることに貢献したいと思っている企業は、数字よりもストーリーを大切にしている気がしますね。

長島:そういう企業は、自分たちの思想に共感してくれるユーザーだけを見ています。それでいいんですよ。リピーターが増えて、商品に価値を追加され、客単価が上がっていくことが望ましい。でも今の社会では、競争が激しくなると価格が下がり、結果として社会全体の利益も下がっている。シェア争いが悪いことばかりとはいわないけれど、特に影響力の強い大企業には、そこから抜け出してほしいと思います。大企業には、日本の社会をいい方向に引っ張っていく責任がありますから。

松本:コンサルタントは企業のトップ層に助言できる立場ですから、そういうことも伝えていくべきですね。長島さんはよく私に、「松本さんは、もっとやりたいことをやらないと!」って言ってくださいますが(笑)、私がやりたいこととの一つに、大企業を変えたいという目標があります。正義感ぶるわけではないですが、大手が変われば、日本の経済が変わりますから。「この企業となら変われるかもしれない」と思ってもらえる組織にしていきたいですね。

長島:ぜひやってください!松本さんなら出来ると思いますよ。 実現してほしいと思います!

これからのコンサルタントに必要な「構想力」

松本:コンサルタントや日本の大企業に対してメッセージをお願いします。

長島:得意なことばかりでなく、不得意なことにも触れていってほしいです。得意なことばかりやっていると、極めることはできるけど、どんどん他の人がわからない、そして他の人からは分からない存在になってしまう。ほかの分野にも興味を持ってみると、世界は広がります。極端に言えば、「嫌いだと思っていた人と付き合ってみる」というのも一つの方法ですね。

そして、視座・視野を変えられるようになれるといいですね。これは常にやる必要はなくて、「今日はこの高さでいく」とか「このプロジェクトだけはここから見る」というのでもいい。自分の立場や範囲以外にも世界があるということを認識しておくことが大事です。

松本:それは、いろいろな人とコラボしながら仕事をしていくには欠かせないスキルになりそうですね。

長島:もう一つ、これからのコンサルには「構想力」も必要です。クライアントをしっかり観察して、持っている世界観を想像し、こちらから「御社がやりたいことは、こうこういうことですよね」と言えること。ただ、もし自分はそういうことが得意じゃないと思ったら、得意な人と組めばいいんですよ。

松本:製造業界の方たちにも、メッセージをお願いします。

長島:製造業は今、「モノからコトへ」の転換が求められていますね。例として、「自動車」は、とても多様な使われ方をしていますが、単なる移動の道具というだけでなく、走る喜びをくれるモノ、さらにはジムやリモートワークのオフィス、洋服の移動販売やお祭りのでみせなど、実に多様な使い道があります。だからこそ、自動車というのは価値がある。でも、自動車の使い方はすべて出尽くしているでしょうか?まだ提供しきれていない価値や、今までにない自動車の活かし方があるかもしれない。高齢化の中で実現し難くなった使い方があるかもしれない。そういう議論を本気でできるようになれば、製造業はもっとよくなるでしょう。それができることが、「モノからコトへ」の転換だと思います。

松本:既存の事業を強化しながら、新しい方向に向かいましょう、というメッセージですね。ありがとうございました。

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