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日経ものづくり/体質改善3D設計 第12回 不具合の未然防止2~FMEA/FTAを効果的に回す基盤~

技術ディビジョン・シニアコンサルタント 宮木邦宏

 

前回(2011年2月号)の本コラムでは、多くの製品開発現場が抱えるデザインレビュー(DR)の問題点に触れた。そこには

 

・DRの形骸化
・DRの通過基準が不明確

 

という2つの共通点があることを指摘し、解決のためのポイントを説明した。
さらに「不具合未然防止」につなげるには、DR(プロセス)の改善だけではなく、製品(プロダクト)の機能について本質的な理解を深め、品質を向上させることが必要であると述べた。
今回は、不具合未然防止を実現するために必要な、活動のポイントを解説していく。

 

■弱みは機能と共に入り込む

 

プロダクトの視点からの取り組みの必要性を実感するのは、「実態」が伴わないままで、DR確認事項の前倒しをしたときであろう。DRでは、下図にまとめたような多岐にわたる項目をチェックしていくことになるのだが、それぞれチェックを実施すべき時期が異なる。
以前はDR2やDR3にピークがあったが、開発リードタイムの短縮を実現するために、DR0ないしDR1に確認時期を前倒しする項目が増えてきている(特に、下図の表のグレーの部分)。
実際、3次元モデルの活用で確認時期の前倒しは可能になった。しかし、それには限界がある。
設計が具現化して形状に落ちるまでは、3次元モデルは活用のしようがない。特に、開発の初期段階のように必ずしも3次元モデルが出来上がっていない段階でのDRは、何ら従来と変わらないはずである。

そうであるにもかかわらず、何の策も講じないまま早期に設計の指針を固め、製品に要求される性能、機能、耐久性などのチェックをしようとする。「実態」が 伴わないままの判断となるため曖昧さが残って、設計確度が上がらない。後工程では期待と異なるものが具体化されかねない危険が残り、いくら注意を払っても 手戻りがなくならないという結果になる。
製品の3次元モデルを作成する前の段階から設計品質を向上させ、不具合を未然に防止するには、製品に対する根本的な理解、とりわけ製品の機能と共に作り込 まれる製品の弱みの把握が必要だ。逆に、それらを知った上で設計検討を行っていけば手戻りは削減できるし、設計指針が明確であるため期待した結果を出しや すくなる。

 

■不具合未然防止の重点活動

 

しかし、不具合を未然に防止するのは容易ではない。前回も述べた通り、過去に経験してきたトラブルや実験結果を余すところなく利用し、再発防止を図るだけ ではなく、新たに発生し得る問題を予見しなければならない。生産工程で発生する可能性がある人為的ミスにも気を配り、それを起こしにくくするような配慮も 必要だ。
一方で、運用当事者にとって負担が大きなやり方は、なかなか定着しない。不具合未然防止が重要な活動であるのは分かっていても、定着させるまでの労力が大 きすぎれば、道半ばで頓挫する可能性もある。従って、適切な手法やツールを導入し、手順を踏みながら確実に定着するように活動していくことが求められる。
我々は、不具合未然防止における重要活動として

 

A.開発初期段階での仕様の明確化
B.ナレッジの蓄積と活用の基盤構築
C.故障モード影響解析(Failure Mode and Effects Analysis:FMEA)や故障原因解析(Fault Tree Analysis:FTA)の定着
D.不具合予測結果の活用

 

を挙げている。
下図は、各フェーズで活用する手法やツールの例である。開発の初期は、まだ製品の構成や具体的形状が決まっていないためCADで支援できる範囲が狭く、い わゆる概念設計に適した他の手法の導入が必要になってくる。具体的にどのような手法やツールが適しているかは現場の状況により異なるが、それぞれの活動の 根底にある考え方は共通であるため、それをしっかりと理解してもらうとよいだろう。

 

(続きは、下記よりPDFをダウンロードしてご覧ください)

 

出典:PDFを含む掲載記事は、日経BP社『日経ものづくり』 2011年3月号 p74~78「体質改善3次元設計」より、日経BP社の了承の下、掲載しております。