日経ものづくり/体質改善3D設計 第1回 業務改革レベルの自己評価 ~プチアセスメントで弱点を知る~

技術ディビジョン・シニアコンサルタント 宮木邦宏

 

製品開発期間は一昔前に比べると劇的に短縮され、製品は多機能化・軽薄短小化し、ますます複雑化する傾向にある。これらを実現するため、3次元モデ ルをベースにした開発プロセスの構築に多くの企業が取り組んできた。3次元モデルによる表現は共通言語のような役割をし、直感的で分かりやすい。3次元モ デルを最終工程まで生かすことにより、開発プロセス全体の効率化を果たせるのが導入企業の期待であり、ベンダーもそれを強調する。
ところが,設計者からは、「図面だけではなく3次元モデルも作成しているから、以前よりも負荷が大きくなっている」「他人が作成した3次元モデルは修正し にくいので、結局、ゼロから描き直している」といった声を聞く。また、思ったように手戻り削減や品質向上に結び付いていないという話も多い。3次元設計を 開始して初めて、さまざまな問題があることに気付くのだ。

 

■3次元CAD導入だけではダメ

 

このような問題を抱える企業からは、3次元モデルを生かした開発プロセスを再構築するにはどうしたらよいのかという相談が、年を追うごとに多くなっている。その背景を分析してみると、さまざまな要因があるようだ。
例えば、2次元の開発プロセスに3次元CADを導入してしまい、3次元の良さが消され、逆に悪さが顕在化している。従来の2次元図面であれば、あいまいなままで済ませ、具体的な決定を後工程に委ねてしまっていたが、3次元設計ではモデルをきちんと作り込み、検証されていることが要求されるからだ。モデルに 内在していた問題が後工程に連鎖するため、問題部分を直すための手戻りや後工程での修正作業に時間を要し、工程間での作業は滞る。
あるいはモデルの作り方が悪く、設計変更や流用設計のような作業に悪影響を与えているといった具合だ。
これらに共通して言えることは、3次元CADを導入することだけに注力し、それで3次元設計が実現できると勘違いしていることだ。3次元CADの導入だけでは大きな効果は望めない。「3次元CAD+○○」で、初めて大きな効果が出てくる。○○は、例えばモジュール化などだ。

筆者らは3次元CADの導入と○○をセットで考えた方法論が必要であると考え、2年以上の歳月をかけて3次元設計環境の再構築と3次元CAD+○○を方法 論「3D-DPRM」として体系化させた。より確実に効果的な3次元設計プロセスを定着させ、高い生産性を実現させる。同時に「開発力」の強化も図り、 「企業価値」を創出していくことを狙いとしている。本コラムでは、この方法論に基づいて、読者が自分自身の会社の3次元設計プロセスを再構築するヒントを 提供する。

 

■現在のレベルを正しく把握

 

まず、3次元設計プロセスの構築が現在どのような段階にあるのかを、「プチアセスメント」によって自己評価していただく。プチアセスメントは、3D- DPRMの実施前に行っている「クイックアセスメント」のエッセンスを本コラムのために抽出し、簡易版としてまとめたものだ。
本来のクイックアセスメントは、業務改革レベルを詳細な評価項目を用いて客観的に評価していき、これに意識調査結果を加え、可能な限り正確にその状況を分 析していく。プチアセスメントは、そこまで細かな評価を出すことができないが、おおよその傾向の把握は可能なものに仕上げた。実際にこのプチアセスメント を実施した企業からは、「短期間で自分たちの足りない点に当たりを付けられるし、多くの設計者の声も抽出できるので大変効果的である」と高い評価を得ている。
プチアセスメントの目的は、「現在、自分たちの3次元設計プロセス構築がどのステージにいるか」「どの部分に弱さを持っているか」について客観的につか み、それぞれに合った効果的な取り組みを理解することにある。プチアセスメントにおける質問では、筆者らが3次元設計プロセスを再構築するために必要な要素であると考えている項目を挙げ、それらに対する取り組みの有無と達成度合いを聞いている。
ともすると、今まで想定もしていなかった事項に対する質問があるかもしれない。そのような質問に対する答えを考えることで、新たな課題に気が付くことも、今後の活動へのヒントになると考えている。

 

(続きは、下記よりPDFをダウンロードしてご覧ください)

 

出典:PDFを含む掲載記事は、日経BP社『日経ものづくり』 2010年4月号 p72~78「体質改善3次元設計」より、日経BP社の了承の下、掲載しております。

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